『思い出のマーニー』考察:「映え」の時代への警鐘
こんにちは、tohnomです。
このブログでは、アニメや漫画の世界を文学のように紐解くことで、作者からのメッセージをより深く理解していこうとしております。
■本日の作品は「思い出のマーニー」
この世には目に見えない魔法の輪がある 輪には内側と外側があって
この人たちは内側の人間 そして私は外側の人間
作品の主人公である杏奈は同級生と馴染めないでいた。
ある日、喘息の発作をきっかけに、杏奈は親戚の田舎町で療養をとることになる。
そこで出会ったマーニーは、金髪で色白、豪華な洋館、華やかなパーティなど女性の憧れを象徴したような存在だ。
美や憧れの存在として描かれるマーニーの対極に現実の世界は描かれている。
風変わりな格好をしている大岩 清正、短髪でメタボぎみの大岩 セツ、何も話さずに小学生からも馬鹿にされている十一、太っちょ豚と言われてしまう信子、丸メガネで妙に好奇心旺盛な彩香
作品はマーニーを幻想的で美しさの象徴として描き、現実の世界をその逆であることを際立たせてる。
しかし、そんなマーニーは両親からほっとかれており、一緒に暮らす「ばあや」と「ねえや」からは、いじめにあっていた。
一方で杏奈は里親である頼子が自治体から杏奈の養育費としてお金をもらっていること、そしてそれを頼子が隠そうとすることにコンプレックスを感じていた。
杏奈はマーニーと一緒にサイロに向かう。
サイロは苦難を象徴しており、マーニーはサイロで和彦に助けてもらうことで、苦難を乗り越え絆が芽生え始める。
一方、杏奈はマーニーの存在を通じて、「家族の絆」に気が付くようになり、頼子と一緒に札幌に帰るところで、作品は終わる。
■作品の背景にあるもの
SNSで写真をあげることが広がり、本当に「美味しい」ものを食べることより、食べ物が周囲から「美味しそう」に見えることの方が大切になっている。また本当に「幸せ」であることより、周囲から「幸せそう」と思われることの方が重要になってきている世の中。
私たちは必要以上に周囲の評価を気にしすぎてはいないだろうか。
『思い出のマーニー』は「美しい世界」と「幸せな世界」がイコールにならないことが描かれている。
一見女子の憧れに思えるマーニーが抱えていた秘密。
本当の幸せとは何なのか?作品は私たちに問いかける。