【ネタバレ】ホームレスのアニメ映画を観たことはありますか?「東京ゴッドファーザーズ」
こんばんは、tohnomです。
このブログでは、アニメや漫画の世界を文学のように紐解くことで、作者からのメッセージをより深く理解していこうとしております。
■本日の作品は「東京ゴッドファーザーズ」
今回は、以前こちらのブログでレビューをさせていただいた「パプリカ」の今敏さんが監督している「東京ゴッドファーザーズ」について、解説をしていきたいと思います。
テーマ:「自分の過去と向き合う」
「東京ゴッドファーザーズ」には3人のホームレスが登場する。
ギャンブル狂のギン、オカマのハナ、家出少女のミユキ。
■ハナ(左)、ミユキ(中)、ギン(右)
そんな3人がゴミ捨て場で拾った赤ん坊の両親を探しに旅にでることで物語が進んでいく。
■ゴミ捨て場の赤ん坊
3人には、それぞれ逃げ出してきた過去があり、それがホームレスになった理由となっている。
ギン:ギャンブルで破産し、家族に迷惑をかけた過去
ハナ:ドラァグクイーン時代にお客様に暴力をふってお店に迷惑をかけた過去
ミユキ:口論の末、父親を刃物で刺してしまった過去
物語は、赤ん坊の両親を探しながらも、
不思議と3人がそれらの過去と向き合うように進んでいく。
ハナは、迷惑をかけたお店のママに会いにいき、ギンは見捨ててきた娘との再開を果たす。
ただ、ミユキだけは、物語の中で何度か「家族の愛」を見ながらも自分の過去と向き合うことができないでいる。
・ホームレスが落とした育児雑誌
・誘拐犯の奥さんの授乳
・新聞でミユキの父親の投稿
・ギンと清子の再会
また、ミユキに対してハナがこんなセリフを言うシーンがある。
「正直にさ、何もかも見せあってそれでも愛せるのが血の繋がりってヤツじゃない?」
「東京ゴッドファーザーズ」は、ミユキが父親と向き合うための心の成長を描いた作品である。
ラストのシーンで、ミユキは赤ん坊の誘拐犯の幸子に言う
「その子を心配して待っているホントの親がいるんだよ!!」
「子供がいなくなった時の気持ち、あんたなら分かるでしょ!?」
■説得をするミユキ
それは、ビルの屋上から通行人に唾を吐き捨てふてくされていた家出少女が
自分を探してくれているであろう父親の気持ちと向き合えた瞬間だった。
作品は、そんなミユキが父親と再会をした瞬間に物語が終わる。
最後にミユキがどうなるのかを、視聴者である私たちに想像させようというのである。
そして、視聴者が想像するであろうミユキと父親の再会の光景こそ、この作品が一番伝えたかったことなのである。
この作品のメッセージ。
それは、現代社会において、人間関係で逃げ出したくなることがあるかもしれない。
だけど、本当に大切なのはそこから逃げ出すことではなく、相手(過去)としっかりと向き合うことということ。
人間関係で社会で生きることが嫌になっている人がいたら、
ホームレスになってしまう前に、是非とも一度見ていただきたい作品である。